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データ ガバナンスとは

すべての企業には、データを正確かつ安全に保ち、企業運営全体を効果的に管理するための枠組みが求められます。

通常、そのためにデータ ガバナンス プログラムを計画および実施し、この貴重な資産を保有し共有するためのベスト プラクティスを組み合わせる人材を指名する必要があります。

データ ガバナンスの基本原則、ガバナンス プログラムを導入する方法、そのプロセスを Jira Service Management などのツールで自動化する方法についてご紹介します。

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データ ガバナンスの定義

データ ガバナンスとは、データが組織に属している限り、正確かつ効果的に使用されることを保証する、包括的なデータ管理の枠組みです。データの収集、保管、使用、削除までのデータ ライフサイクル全体をカバーします。

適切なガバナンスには、データの品質、セキュリティ、コンプライアンスを維持するためのポリシー、手順、標準の作成と実施が含まれます。データの誤用や損失に関連するリスクを最小限に抑えながら、データの正確性、アクセス性、保護を保証します。

戦略的意思決定のためにデータに基づく文化を採り入れている組織にとっては、優れたガバナンスが不可欠です。優れたガバナンスにより、データが常に貴重で信頼できるリソースであることが保証されるのです。

データ ガバナンスが重要な理由

ビッグデータ、人工知能、規制の枠組みの進化に伴い、各企業はさまざまなシステムにまたがる膨大な量の情報を管理する必要に迫られています。

複雑な規制やベスト プラクティスを遵守しながら、主な運用上のニーズを満たすためにデータを管理しなければなりません。データ ガバナンスが十分でない場合、データ侵害、顧客からの信頼の喪失、規制上の罰則など、深刻な結果をもたらす可能性があります。

不適切なガバナンスに起因する典型的な非効率性には、データの重複、一貫性のないレポート、データを戦略的に活用する機会の逸失などがあります。

このシナリオは、AI を活用したサービス管理と機械学習テクノロジーの急速な普及によってさらに複雑になっています。これらのツールは大規模かつ多様なデータセットに大きく依存しているため、データ品質が低下すると、予測が不正確になったり、結果に偏りが生じたり、セキュリティ上の脆弱性が生じたりする可能性があります。

データ ガバナンスの枠組みが強固であれば、AI モデルで使用されるデータを管理しやすいものにし、その信頼性を高めることができます。

データ ガバナンスのメリット

データを適切に管理すれば、さまざまな事業部門がその価値を最大限に活用することができます。

たとえば、人事部門の業務に限れば、データ ガバナンスによってオンボーディング ワークフローの円滑な実行など、人事の自動化のベスト プラクティスを策定することができます。このようなプラクティスは次第に拡大し、HRSM 部門全体に広がり、人事サービス管理のための Jira などのツールによってサポートされるようになります。

枠組みによってデータの所有権、アクセス、使用方法が明確にされると、チームは常に正しいデータを適宜、利用できるようになります。

このような設定によって生産性が向上する具体的な例を次に示します。

データの正確性と一貫性の向上

データ ガバナンスにより、データが複数のシステム全体で標準化され、その正確性が保証されるため、一貫性のないデータ入力や古い情報から生じる不一致を排除できます。ガバナンスの枠組みでは、データの収集、保管、保守に関する明確なルールとプロセスを確立することにより、すべての関係者に対してデータの信頼性とアクセス性が保たれます。

たとえば、一貫したデータ ガバナンスでは、複数の部門全体で同じ信頼できる情報源が使用されるため、財務レポートにおけるミスを防ぎます。これにより、より正確かつタイムリーに財務諸表を作成できます。

意思決定の強化

正確で一貫性のあるタイムリーなデータにより、意思決定者は直感や推測に頼らず、自信をもって判断を下せるようになります。データを整理して明確に表示することによって、企業は傾向を見極め、機会を特定し、課題に迅速に対処することができます。ビジネスの俊敏性は競争力を維持するための前提条件ですが、これは質の高いデータをすぐに利用できる場合にのみ得られるものです。

コンプライアンスとリスク軽減

ほとんどの業界では、企業はデータを正しく管理する方法を規定する GDPR、HIPAA、業界固有の標準など、さまざまな規制に対応しなければなりません。効果的なデータ ガバナンスは、企業がこれらの管理と対策を実施し、データを保護するための指針となります。たとえば、GDPR は、企業がプライバシーを維持しながら、透明性と説明責任をもって個人データを扱うことを義務付けています。企業がこのような義務を無視した場合、多額の罰金が科せられるリスクがあります。

運用効率の向上

優れたデータ ガバナンスは、データへのアクセス、品質、使用方法を決定する明確なルールに基づいています。これらのルールに従うことで、企業はエラーを最小限に抑え、作業の重複を防ぎ、チームが最も正確かつ最新の情報に基づいて作業できるようにします。

たとえば、不要なデータ サイロを排除すれば、データを簡単に見つけて共有しやすくなるため、情報の検索や検証に費やす時間を短縮できます。ガバナンス プロセスを自動化すれば、データ管理に伴う手作業も減らせるため、データ入力、保守、監査に伴うコストも削減できます。それによってワークフローが加速し、組織全体でリソースをより効率的に使用できるようになります。

データ ガバナンスの主な原則

効果的なガバナンスの枠組みの設計と導入には、整合性、セキュリティ、説明責任を念頭に置かなければなりません。これらの基準がデータ品質、関連規制の遵守、および透明性の基盤となるのです。

データ品質と整合性

効果的なデータは、完全で信頼性が高く、システム間で一貫していなければなりません。データ ガバナンスの枠組みでは、データを定期的にクリーニング、検証、更新するためのプロセスを確立する必要があります。

データの品質が低ければ、クリティカルな意思決定の場で誠意のない判断を下すリスクが生じ、それが業務の非効率化やビジネス機会の逸失につながる可能性があります。

優れたガバナンスはデータの整合性から始まります。なぜなら、その他のファセット (コンプライアンス、セキュリティ、分析、レポート) は、信頼できるリソースがないと実現できないからです。

製品開発からカスタマー サポートまで、下流でのビジネス オペレーションは信頼できる情報に完全に依存しています。

データ プライバシーとセキュリティ

組織が大量の情報、特に個人データや機密データを収集して保存する際に、潜在的な侵害や漏洩からデータを保護することがますます重要になっています。

主要なセキュリティ対策には、暗号化、アクセス制御、監査ログなどがあります。暗号化によって権限のない個人がデータを読み取ることができなくなり、アクセス制御によって特定のデータ セットを閲覧または変更できるユーザーを定義します。監査ログは、データの使用履歴と変更の証跡を提供し、セキュリティ インシデントが発生した場合に説明責任とトレーサビリティを提供します。

ガバナンス対策では、重要性や機密性に基づいてデータを分類する方法についても概説する必要があります。

説明責任と所有権

データの整合性、セキュリティ、アクセシビリティを監督し、組織のポリシーや法的要件に従って使用されていることを確認するデータ所有者とデータ スチュワードを指名する必要があります。

これらの役割は、データ品質、プライバシー、およびセキュリティに関する責任を明確にして、正式に割り当てる必要があります。関係者が自分の職務を十分に認識していれば、誤ったデータ管理に関連する問題に迅速に対処できます。

規制の遵守

組織は、データ侵害、不正アクセス、罰則のリスクを最小限に抑えるために、法的要件や規制要件に沿ったデータ管理を実践する必要があります。そのためには、継続的な監視とより広範なルールの適用を保証する社内ポリシーと手順が必要です。その一例が GDPR です。GDPR は、組織が個人データを保護し、個人が自分の情報を管理できるようにすることを義務付けています。

データ ガバナンスの責任者は誰ですか?

説明責任と個人に割り当てられた役割に関する話に戻りますが、協力してデータ ガバナンスに取り組む必要があることにご注意ください。

データ フローは IT チームやビジネス リーダーを含むさまざまな部門やシステムにまたがっているため、部門の垣根を越えたコラボレーションが必要です。協調的なアプローチは、データ アクセスを妨げ、品質に影響を与えるサイロやコミュニケーション ミスを回避するのに役立ちます。

このコンテキストにおいて、データ スチュワード、データ所有者、ガバナンス評議会がどのように連携しているかを説明します。

データ スチュワードは、データ品質を管理し、システム全体のデータが正確で一貫性があり、信頼できるものであることを保証する責任を負っています。データ標準を確立し、データ クレンジング タスクを実行し、データ ガバナンス ポリシーを確実に遵守させることで、データの整合性を維持します。データ スチュワードは、データの使用とアクセスに関する主な連絡窓口としての役割も果たし、継続的に保護されたデータが適切な関係者に確実に届くようにします。

通常、データ所有者は組織内の特定のデータセットを担当するシニア リーダーまたは部門長です。データ セキュリティの指針となるポリシーを設定し、データの使用が組織や規制の要件に沿っていることを確認します。つまり、データ所有者は、自分の管轄下にあるデータが正しく管理されていることを保証する最終的な説明責任を負っています。

ガバナンス評議会は、データ ガバナンス イニシアチブの監督と戦略的方向性を提供する部門横断型のチームです。通常、ガバナンス評議会には IT、法務、コンプライアンス、財務、運用といったさまざまな部門の代表者が参加します。データ ガバナンス ポリシーがビジネス目標と一致し、業界標準を遵守し、規制要件を確実に満たすようにします。ガバナンス評議会は、あらゆる紛争や課題の解決において重要な役割を果たし、すべての関係者がデータ管理プラクティスに関与し、情報を得られるようにします。

成功するデータ ガバナンス プログラムの実装方法

構造化されたデータ ガバナンスのアプローチに従うことで、上記のチームはリーダーに計画を明確に伝え、継続的なサポートを得ることができます。優れたプログラムは、組織の成長に合わせてガバナンスの実践を適応させるためのロードマップとしても役立ちます。

データを貴重な資産として管理する主なステップは次のとおりです。

1. 現在のデータ管理プラクティスを評価する

まず、組織の既存のデータ管理ポリシー、手順、およびシステムを評価します。対処が必要なギャップや非効率な領域を特定します。この評価はベースラインの確立に役立ち、ガバナンスの改善によって価値を高めることができる分野を明らかにします。

2. データ ガバナンスのポリシーと目標を定義する

データを収集、管理、共有、保護する方法を概説する明確なポリシーを作成します。これらのガイドラインには、データ品質基準、セキュリティ プロトコル、プライバシー規制、およびコンプライアンス要件を含める必要があります。意思決定の改善や規制遵守の確保など、ビジネス目標に沿った具体的で測定可能な目標を設定します。

3. 役割と責任を割り当てる

データ所有権とスチュワードシップの役割を割り当てて、ガバナンス ポリシーの実行を監督します。これらの役割に対して責任が適切に定義され、権限の階層が明確になっていることを確認してください。

4. 適切なツールとテクノロジーを選択する

Jira Service Management などの適切なデータ ガバナンス ツールは、データのカタログ化、品質管理、アクセス管理、コンプライアンス監視などのプロセスの自動化に役立ちます。既存のシステムと統合し、データをリアルタイムで追跡し、強力なセキュリティ機能を提供するソリューションを見つけてください。Jira Service Desk には、こうした機能の多くが搭載されています。

5. 変更管理計画を確立する

変更管理とは、データ ガバナンス プログラムが組織全体に確実に取り入れられるようにするためのプロセスです。プログラムのメリットをすべての関係者に明確に伝え、その進捗に関する最新情報を定期的に提供します。ガバナンスによって効率性、意思決定、コンプライアンスがどのように改善されるかを強調することで、抵抗に対処します。

6. 継続的な教育とトレーニングに焦点を当てる

データ管理プラクティス、規制、テクノロジーは絶えず進化しているため、組織全体が参加している場合でも、データ ガバナンスには継続的な教育が必要です。定期的なワークショップやウェビナーは、こうした変更に関する最新情報をスタッフに提供するのに役立ちます。ガバナンス ポリシー、データ セキュリティのベスト プラクティス、ガバナンス ツールの使用に関するトレーニング セッションを従業員に提供します。データ ガバナンスのこうした側面は、効果的な IT サービス管理を可能にし、従業員エクスペリエンス管理に貢献します。

データ ガバナンスの管理に関するベスト プラクティス

データ ガバナンス プログラムを導入すると、具体的なメリットが得られるはずです。そのため、プログラムの計画、実装、更新を慎重に進める必要があります。

プロセスを予定どおりに進めるためのヒントをいくつか紹介します。

小さく始めて、段階的に拡大する

すべてのデータを同時に管理しようとするのではなく、特定のデータ資産や部門に焦点を当てることから始めます。たとえば、顧客データや財務記録など、ビジネスに最も直接的な影響を与えることが多い優先度の高い分野から始める方がよい場合があります。段階的にロールアウトすることで、実装をより管理しやすくなり、組織全体に拡大する前にプロセスを改善する機会が得られます。

データ ガバナンスをビジネス目標に合わせる

データ ガバナンスは単独の取り組みとしてではなく、ビジネス目標の達成に不可欠な要素として捉える必要があります。ビジネス リーダーと緊密に連携して、問題点を特定し、データ ガバナンスで直接対処できる測定可能な目標を定義してください。一般的な目標としては、顧客インサイトの改善、業務効率の向上、規制要件の遵守などが挙げられます。

データ ガバナンスの影響を測定する

データ品質の向上、プロセスの合理化による時間の節約、ユーザーによるガバナンス ツールの採用など、データ ガバナンスの実践結果を反映する主要業績指標 (KPI) を決定します。KPI を定期的に分析して経時的に進捗を追跡し、必要に応じて戦略を調整します。

ポリシー、人材、テクノロジーのバランスを取る

ポリシー設定、スタッフの対応、使用するツールはすべて、データ ガバナンス プログラムの有効性に影響を与える不確定要素です。これらのコンポーネントがプログラム全体のボトルネックになっていないことを確認してください。また、チームがガバナンス ポリシーとツールの仕組みを確実に理解できるよう、トレーニングとリソースに投資してください。そうすることで、潜在的な問題を発見できる可能性があるフィードバックが得られます。

データ ガバナンスに関する実例

データ ガバナンスがさまざまな分野にどのように影響を与えることができるかを示す仮説的な事例をいくつかご紹介します。

医療: 患者データ管理の改善

医療組織では、患者の記録を安全かつ効率的に管理し、HIPAA への準拠を保証するために、データ ガバナンスを実装する場合があります。アクセス制御を定義し、一元化されたデータ カタログを作成することで、データの正確性が向上し、患者の記録にリアルタイムでアクセスできるようになります。システムを合理化することで、データ サイロなどの冗長性を削減しながら、データ侵害防止と運用効率を向上させることができます。これにより、効率的な IT インシデント管理もサポートされます。

財務: コンプライアンスとリスク管理の強化

金融機関は、GDPR とサーベンス オクスリー法基準の遵守をより重視する可能性があります。また、データのプライバシー、暗号化、監査にも焦点を当てるでしょう。データ スチュワードと所有者の所有権に関する役割を明確にすることが優先事項です。課題として、ガバナンス プラクティスを既存の IT システムに統合することが挙げられますが、統合ツールに投資することで監査プロセスが大幅に改善されます。

小売: 在庫と顧客データの最適化

グローバルな小売業者にとってより関心があるのは、在庫管理と顧客データの正確性でしょう。統一されたデータ カタログを導入することで、製品の入手可能性や最新の顧客データについて、すべてのプラットフォームで一貫した情報を手に入れることができます。1 つの課題はデータ入力における地域的な不一致ですが、標準化されたプロトコルを利用することで解決できます。その結果、在庫予測の改善、廃棄物の削減、信頼できる顧客インサイトに基づくより効果的なマーケティングが可能になります。

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JSM (Jira Service Management) は、データ ガバナンス プロセスを合理化および自動化するための強力なツールを提供し、大規模なコンプライアンスと効率性を確保します。

JSM はカスタマイズ可能なワークフローにより、データのカタログ化、アクセス制御、監査ロギングなどの重要なタスクを自動化し、人為的ミスのリスクを軽減し、ガバナンス ポリシーが組織全体に一貫して適用されるようにします。リアルタイムの追跡およびレポート機能でチームを強化し、高い運用水準を維持しましょう。

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